わたしたちのふく 計画中!
目 次
- 悩むお年頃 2022.9背景
- だったら作ろう!わたしたちがほしい「ふく」2022.9コンセプト
- まずはこのお方に相談。2022.10ひと
- 試着はじまる。いろんな体型があるね。2022.11.打ち合わせ
- いきなりいい感じ!2022.12 打ち合わせ
- そうは問屋が卸さない 2023.1 打ち合わせ
- 形と生地決まる 2023.2 打ち合わせ
- どこで作るのか 2023.3 生産
- 工程分析が肝じゃけーね 2023.3 生産
- 畑から「わたし」まで、めぐる旅をしよう。2023.4 透明性
- ボタンまわりにもいろいろお話が(本投稿)2023.4 透明性
- ようやくお披露目できました 2023.5 完成
- 発売から2カ月経ちました 2023.6 反応
- 色違いが欲しい 2023.12 展開
11.ボタンまわりにもいろいろお話が
手芸好きの母が、
おばあちゃんの古いコートのボタンや、父のワイシャツのボタン、母の昔のワンピースなどのボタンを、服を処分する前に全部外し、カメラのフィルムケースに保存していました。
新しい服を作るときにその中から「どのボタンにしようか?」と選ぶ時間が大好きでした。(今思うとなんて贅沢な思い出なんでしょう!)
いつからでしょう、、ボタンを集めなくなったのは。
ボタンひとつにも愛着が持てるようにしたい。
そう思い選んだのがこちら。
高瀬貝という貝殻を奈良で加工した、『貝ボタン』。
国内産の貝ボタンとなります。
ただし、貝の原産は海外です。
国内原産の貝でボタンというのはもはや超貴重品。今回の企画としては見つかりませんでした。
ボタンの加工をする様子を今回のボタンメーカーさんがアップしてくださっています。ご参考までに。
奈良は明治時代後期から続く貝ボタンの産地だそう。
かつて綿加工品が盛んだったこの地域ですが、それが徐々に衰退していった為の、閑散期に家内製工業として貝ボタンの生産が脚光をあび、たくさんのボタン加工場があったのだとか。
残念ながらこの産業も、今、奈良に残っているのは当時の1/10くらいだそうです。
ほんのりと光沢があり、真っ白だったり乳白色混じりだったり。
主張が少なく、上品。
つまみやすいように厚みがあるものにしました。
part 6「そうは問屋が卸さない」でレポートしたように、
今回の「ふく」、ボタンの位置にもこだわっています。
胸部にボリュームのあるAさんと、ボリュームのないBさんが着ても
快適なように。
特にボリュームがあるタイプの人は、前ボタンをとめると合わせの部分が浮いてしまったり、そもそもボタンが閉まらない、胸を張るとパンと弾けそう、ということもよくあるので、
ボタンの個数を増やし、わりと細かめのピッチで入れています。
(ちなみにAさんはFカップです)。
また、そうすることで、
首が短めの人は、上から2つまでボタンを外して着ても素敵に見えるようになりました。
ちなみにこの貝ボタン、ほんのり茶色がかったところがわかりますか?
一応、表か裏かというと、つるんとした方が表、この茶色が混ざったような面は裏、と設定されていますが、
使用にはどちら面でも全く差し支えないとボタンメーカーに確認したので、
あえてランダムに、意識せずつけることにしました。
そのほうが、生成りのオーガニックコットンの縫い糸とマッチしているからです。
さて、ボタン周りに必要な工程、
ボタンを通す穴=ボタンホール。
バラバラのパーツを縫い合わせ、服状態になった工程の最後にボタンホールを開けるのですが、マアルにある業務用ミシンではボタンホールが対応できません。
マアル素sou工場から自転車で数分のところにある、ボタンホールを請け負ってくれている工場さんにお願いすることになりました。
さて、ボタンホールが開いた服を、一旦マアルにもどし、ボタン位置をつけたら
広島市内のこれまた近くにある、就労継続支援A型事業所へ運びます。
※就労継続支援A型事業所とは、
通常の一般企業に雇用されることが困難な身体、精神、知的の障がいのある方や難病の方に『働く場』を提供します。利用者の皆さんに、最終的に一般就労をしてもらう為に、必要な知識や技術を習得してもらえるよう努めている。
ここで働くひとりの女性が、ひとつひとつボタンを縫い付けています。
前述の栗栖さんに以前ボタン付けの指導をうけ、今やベテラン。
丁寧に、かつテキパキと、そして、とても正確なお仕事をしてくださっています。
「できました!」「はい!取りに行きます」「帰りに寄ります」「朝に寄りますね」
マアルからすぐそばにボタンホール屋さん、ボタンをつけてくださる人がいてよかったと思いました。
いずれも今回の企画でお世話になっている兼澤さんと栗栖さんのご紹介あってのつながり。こうした人たちのご縁をマアルに繋いでくださって、いつも本当にありがたいと感謝しています。
そして、こういう小規模工場の連携こそが、かつて日本各地の繊維の町で協力しあってできていたことなんだよなと、消えゆく産業を、技術をどう守っていくのだろうか、と、常にそこを考えてしまいます。
わたしたちのふく 計画中!
順次公開予定!