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マアル with しょうぶ学園

しょうぶ学園アトリエ

なんだか分からない でも ものすごく惹きつけられる

「なんだか分からないけど、ものすごく惹きつけられる」
「なんかうまく言えないんだけどね、もうね、すっごく熱量を感じるのよ!」
「もうさ、なんかすごいんだよ」

しょうぶ学園アトリエ

以前から、わたしが友人たちにしょうぶ学園(※1)のことを話すとき、唾を飛ばさんばかりに身を乗り出してこう話していたらしいのです。

我ながらまったく表現力に乏しいのですが、

「なんだか分からない」、
けれども「ものすごく惹きつけられる」

それこそがわたしの感じた全て。

言葉では説明し難い、強い吸引力で、十数年前?いつからか思い出せないのですが、わたしはとにかくしょうぶ学園を意識していました。

「いつかマアルから生まれる何かに、しょうぶ学園さんに関わっていただけたら。」
そう思うようになったのはここ数年。
あこがれは大きく、口にするのは憚られる。
密やかに抱いていた、「いつか」の願い。

しょうぶ学園支援施設

(※1)しょうぶ学園
鹿児島県にある知的障害者支援施設。 どのような取り組みをしているところかは後述。

2019 秋 しょうぶ学園へ

昨年のある日、誰かのSNSで目にした画像。
糸が盛り上がり、まるで小さな野原の小山のように見えた刺繍した布の写真。
「うわぁ…」クリックすると、それはしょうぶ学園のnui project(※2)でした。
ああ、やっぱりしょうぶ学園の作品だ。
それをきっかけに久しぶりにしょうぶ学園のホームページを舐め回すように見るうち、作品を実際に見たくてたまらなくなりました。

イベントスケジュールを見ると、近いうちに都市部での展示会予定はない様子。

「行っちゃおうか」

名古屋の出展が終わったあと、鹿児島行きの飛行機に乗りました。

衝動的に伺ったので、アポイントもなし。
しょうぶ学園の空間そのものに興味があったし、一般に公開している敷地内にあるクラフトショップ、パン屋、蕎麦屋、レストラン、そしてその時開催していた陶芸の展示を見られたらいいな、という気持ちで訪れました。

しょうぶ学園


大きな看板がある入り口に入った途端、森の中の、秘密の場所に入ったような感じ。
けれども、いつだったか来たことがあるような、不思議な既視感を覚えました。

ひとつひとつゆっくり時間をかけて巡り、最後にクラフトショップに。

ポストカードや、カバン、数々の作品をゆっくり見てまわるうち、私の頭の中では鐘が鳴り響くような…ドキドキドキ。

すごい熱量。なんて自由!

マアルのこれから、に、この絵たちが加わったら!!!

ドキドキドキ。。。

もう、具体的な妄想が止まりません。

しょうぶ学園クラフトショップ
施設内にはお店やレストランのほか、利用者が作業する工房など、様々な棟が点在している。

ここからは、不思議なタイミングが続きました。
クラフトショップでお会計をしてもらおうと人を呼びました。
奥から出て来て会計をしてくださっている女性に、思い切って「あの…わたしは広島でオーガニックコットンの肌着を作っている者なのですが…」と声をかけました。

ドキドキドキ。

その方がなんと、デザイン室の担当の方だったのです。
たまたま、クラフトショップの方がお休みということで、奥の工房から手伝いに来てくださったということでした。
タイミングの神様がいるとしたら、わたしは本当に感謝しなくてはなりません。

そこからお話がすすみ、このたびの、マアルの10周年アニバーサリーとしてしょうぶ学園の利用者さんが描いた絵をマアルのプロダクツに。という夢のような企画が実現する運びとなりました。

(※2)nui project
しょうぶ学園の布の工房から生まれたプロジェクト。針1本で縫い手が思いのままただひたすらに糸を布に踊らせいくことによって生まれるダイナミックな表現。

もっともっと自由に!!

しょうぶ学園アトリエ


しょうぶ学園は、「その人がその人らしく生きるために」を<SHOBU STYLE>と掲げ、障がいのある人たちが地域と安全に友好的につながりあい、暮らしていくために、ものづくりを通じて障がいのあるなしに関わらず、関わり合い、支え合い、産み出していく、という様々な独自の取り組みをしている鹿児島の複合型の福祉施設です。

しょうぶ学園アート

与えられ、指導される側から、その人が夢中になるものをありのままに、創り出す側に。

利用者の感性の赴くままに、ものすごい集中力で作り出される数々の作品。

上手に、綺麗に、うまく、そういった概念のないところから生まれ出るものを「おもしろい!」「なんだか好きだ」と魅力を感じて集まってくる人たちとの共鳴でどんどん広がっていくSHOBU STYLE。

しょうぶ学園アート

そして、マアルが目指しているのは、「肌着の概念にとらわれない肌着」。

締め付けない形、肌がふっと喜ぶ気持ちの良い素材。

綿を栽培する人から、作る人、そして肌着を使う人まで、尊重しあう関係でマアルく繋がっていたら、それこそが最高に「気持ちがいい」と考えています。

締め付けを取っ払い、体の巡りがよくなると、どんどん考えも柔軟になり、自由になっていく。

10周年を迎えたマアルのこれからは、「もっともっと!自由に」を念頭に、これまで支えてくださったお客様、これから出会うお客様と共に、人生を謳歌していく過程においてマアルの肌着が寄り添っていけるようにと願っています。

そんな「マアルのこれから」に、しょうぶ学園で生まれたものが重なりあったら!!と言葉にできない吸引力を感じたのは、ここに本能的な「ありのままでいい」「好きなら好きでいい」「まあるくつながる」を感じたからかもしれません。

しょうぶ学園再訪

この企画がいよいよ具体的になり、再訪したしょうぶ学園。
マアルの10周年アニバーサリーの企画は「和紙造形の工房」を利用していらっしゃる、郡山さんと壱岐さんにお願いすることになり、ご挨拶に伺いました。

しょうぶ学園アート

壱岐さんの絵

壱岐さんの魚の絵は、初めてしょうぶ学園に伺ったときにすでに壁にかかっていて、「ああ!好きだー!」と。わたしの一目惚れでした。

この取材に伺った日は、午前中に桜島へ利用者の方々と遠足に行ってらして、お疲れにも関わらず、話しかける私にちょっと俯き加減でうん、うんと応えてくださいました。
連続した物体を描くのが得意なんだそうです。

しょうぶ学園アトリエ
壱岐昌大(いき・まさひろ)さん

郡山さんの絵

通称「コーリー」こと郡山さんは、しょうぶ学園のベテランさん。
「あんた名前はなんて言うね?」と鹿児島弁で気軽に話しかけてくださいました。「櫻木直美です」と答えると「いい名前だね」と。とても嬉しくなりました。
「コーリー」と呼んで、と担当職員の榎本さん・桐野さんも仰ってくださったので、親しみを込めて私も「コーリー」と呼ばせていただくのですが、コーリーは気象現象が大好きな様子。
「火山雷」についてものすごく熱く語ってくれている脇で、私はこのコーリー作の「火山雷」オブジェにキュンキュンしていました。

しょうぶ学園アート

しょうぶ学園アトリエ
郡山義一(こおりやま・よしかず)さん

コーリーは普段、「何か」を見て、ご自身のフィルターを通し、描いてらっしゃるということなので事前に「何か」をマアルで用意しました。

マアルのメンバー、それぞれの「好きな言葉・好きなこと」です。

「マアルとして」ではなく、あくまで「わたし」主体でと伝え、お正月明けにそれぞれ出してもらったものをお渡ししました。

もうひとつ、マアルの肌着を着ているモデル写真。

それらをコーリーが黙々と描く。うわぁ!嬉しい!
文字も女の子も、今にも動き出しそうなエネルギーがいっぱいです。


しょうぶ学園アトリエ

今や日本国内はもとより、海外からも見学者が訪れる「これからの福祉」のひとつのあり方を示してくれるしょうぶ学園も、1973年の創立から現在のスタイルに変わっていくまで、それはそれは様々な葛藤や試行錯誤の連続だったそうです。

そしてこれからもどんどん変化を続けるそう。実際私が初めて訪れた昨年の秋、地域住民参加型の新たなアートセンター「アムアの森」をオープンされアートスタジオの他、児童発達支援事業や放課後等デイサービスに併設して、コンサートができるホールもありました。


マアルは2020年の春に10周年を迎えました。
「自分たちが欲しいから」という理由だけで作り始めた布ナプキンと肌着。
スタートした時は、店を持つとか、会社にするなんて考えたこともなかったし、まして10年後なんて、想像すらしていませんでした。

しょうぶ学園アート
『手書き文字・女の子イラスト』 
作者:郡山義一 2020年 ©SHOBU STYLE

「売れるから」という理由ではなく

「私たちに必要だから」が、

そのうち「同じくらい必要としてくださっている」お客様に恵まれ、いつも「作りたい」気持ちが溢れ続けて10年を迎えることができました。

当初、10周年を迎える4月のタイミングでしょうぶ学園との企画を発信しようと考えていたのですが、じっくり時間をかけているうち、世界は移動を控え、内側を見つめる時間ができました。


しょうぶ学園アート
『魚 イラスト』 作者:壱岐昌大 2019年 ©SHOBU STYLE

春、私のそばにはいつも、コーリーの「まあるくつながろう 希望 harmony」の文字があり、自由に泳ぎ回る壱岐さんの魚たちが在りました。

心は自由!気持ちはいつでも自由なんだ!
空は青く、励まし合う世界は美しく。
またしてもタイミングの神様に感謝です。
手元にある彼らの原画にどれほど励まされたことでしょう。

もちろん彼らは何も図っていません。
ただ、ただ、ありのまま、そこに居て描いてくれているのです。


しょうぶ学園

まあるくつながろう
マアルとしょうぶ学園

マアル10周年アニバーサリーに寄せて。

2020年、発売を1ヶ月後に控えた夏至の日に。
櫻木直美


ありのままがあるところ

『ありのままがあるところ』   福森伸 著 晶文社

しょうぶ学園施設長の福森伸さんがこれまでのしょうぶ学園の歩みを綴った本。「ありのままでいい」という現在の SHOBU STYLEになるまで試行錯誤された取り組み方や、障がいがある人たちとのエピソード。葛藤。想いに心打たれます。マアル繋がりの皆様にお読みいただきたい!と今回マアルで取り扱うことになりました。 商品ページはこちら

マアル10周年記念企画
まあるくつながろう
マアル with しょうぶ学園
しょうぶ学園 POP UP SHOP 同時開催

広島 マアル素 ショールームにて

2020年7月23日(海の日:祝) 午前10時~午後6時
素での「しょうぶ学園POP UP SHOP」はこの日のみ開催です。
「マアル with しょうぶ学園」 限定商品はこの後も引き続き販売します。
混み合う場合は入場制限をさせていただくことがございます。

マアル公式オンラインショップにて

2020年7月24日(体育の日:祝)午前10時 カートオープン
「しょうぶ学園POP UP SHOP」web同時開催
POP UP SHOPは商品がなくなり次第終了となります。

商品に関する情報など、詳細は近日SNS等でご案内します。